CRM/SFA 導入事例一人ひとりに寄り添う、顧客対応を実現。
柔軟なカスタマイズ、手頃なコスト、BtoC対応の悩み
━━すべてを解決したのがZoho CRMでした。
- 株式会社IchitogoManufacture
- 所在地東京都台東区蔵前2-1-23蔵前立沢ビル A号
- 業種製造・小売
- 社員数4名
- ビジネスBtoC
- 創業2012年6月
顧客一人ひとりに寄り添った対応が求められるBtoCビジネス。しかし、問い合わせ履歴や購入情報、サポート対応が分散していると、スムーズな対応が難しくなり、顧客離れにつながる事態にも…。
本革製品などを企画・販売する株式会社IchitogoManufacture(イチトゴマニュファクチャー)も、こうした課題を抱えていたBtoCビジネスを展開する企業の一つ。自社ブランド 「Alt81(オルトハチジュウイチ)」 を運営し、東京・蔵前の実店舗とECサイトで販売を行っていますが、情報管理が統一されておらず、問い合わせ対応や販売管理に多くの手間がかかっていました。
そこで、同社ではZoho CRM を導入し、顧客情報を一元管理する仕組みを構築。導入当初は代表者のみが使用していましたが、現在では全社員が活用しています。
実店舗とECを運営しながら、限られたリソースで、いかに効率的な顧客対応を実現するか。BtoCビジネスにおけるZoho CRM を活用した取り組みについて、同社代表の高崎真行氏に話を伺いました。
「カスタマイズが簡単にでき、イニシャルコストも安価で済むZoho CRM は、私たちのようなBtoC事業者にも使いやすいITツールです」
株式会社IchitogoManufacture 代表取締役高崎真行氏
― はじめに、株式会社IchitogoManufactureについて教えてください。
高崎氏:当社は、日本の手工業を発展的に継続させるために何が必要かを考え、「確かなものづくりを続けていく」という理念のもと2012年に創業しました。以来、常に製品のクオリティに重きを置き、“安かろう、悪かろう”ではなく、高品質なプロダクトを作ることをポリシーとしています。
自社ブランド「Alt81」では、メンズ向けの本革製品を中心に、長く愛用できる洗練されたアイテムを提供しています。現在は東京・蔵前の直販店とECサイトを通じて、お客様と直接向き合いながら、高品質な製品をお届けしています。
スモールスタートのしやすさとカスタマイズ性の高さからZoho CRM を選択
― 商品の販売経路について、実店舗での直販とECの割合はどのくらいですか? また社員の方の役割についても教えてください。
高崎氏:当社では、自社ECサイトと直営店舗のみで販売を行っており、楽天やAmazonなどのモールには出店していません。直接お客様と向き合い、ブランドの世界観やものづくりへのこだわりを伝えられる販売方法を大切にしています。
販売の割合としては、実店舗が60%で、ECサイトが40%。口コミや紹介で来店されるケースは多く、リピーターの方も増えています。お客様からは「サポートが丁寧」、「革の質がいい」、「作りがしっかりしている」といった声をいただくことが多く、製品のクオリティだけでなく、接客やアフターサポートにも評価をいただいていると感じています。
現在、社員は4名と少人数ですが、それぞれが異なる役割を担いながら、全員が接客にも関わっています。1名は接客を専門に担当し、ECサイトの受注や問い合わせ対応も兼任。もう1名は生産管理を担当し、製造を支える役割を担っています。そして、もう1名はウェブサイトの管理や写真撮影など、クリエイティブ業務を担当。私自身は代表としてこれらの業務すべてに関わりながら、全体を統括するポジションです。皆、役割はありますが、お客様対応は全員が行っています。
このように、当社は小規模だからこそ、各自が複数の業務を担いながら、実店舗とECの両方を運営しています。その中で、いかに効率的に業務を進め、より良い顧客体験を提供できるかを常に意識しています。
― Zoho CRM を導入される以前、貴社ではどのような業務課題があったのでしょうか?
高崎氏:当社ではもともとお客様の情報や販売履歴、問い合わせ対応をそれぞれ個別のツールで管理していました。販売情報はエクセル、メールはメールアプリ、電話対応の記録は個別管理…といった具合に、情報がバラバラで統一されていませんでした。
特に大変だったのは、お客様対応の際に情報をすばやく確認できなかったことです。お問い合わせいただいたお客様から連絡があった際、どこに情報が格納されているかすぐに分からないという状況でした。受注情報はあるけど、それに紐づく接客履歴が出てこない、電話でのお問い合わせ内容は別の記録を探さなければならない…。こうした手間が増えることで、「少々お待ちください」とお客様を待たせてしまう時間が長くなり、対応に支障が出ていました。
さらに、修理状況や商品の入荷情報など、販売後のアフターサービスに関するデータも別々に管理していたため、確認作業が煩雑になり、ミスも増えてしまいました。こうした問題を解決するために、すべての情報を一元管理できるCRMの導入を検討するようになりました。
― 数あるITツールの中から、Zoho CRM を選んだ決め手を教えてください。
高崎氏:本来CRMは「顧客情報を活用してアクションを起こすためのツール」だと思います。たとえば、リピーターを分析したり、メールマーケティングを行ったりといった用途です。実際、私自身も前職でBIツールを使っていたこともあり、そうした機能を持つCRMを探していました。ところが、多くのツールは導入コストが高く、小規模な当社にとっては導入ハードルが高い。その中で、機能とコストのバランスが取れていたのが Zoho CRM だったのです。
キントーンも試しましたが、カスタマイズの自由度が物足りないと感じました。また、前職で使っていたSalesforceはBtoB指向。機能が多すぎてオーバースペックでしたし、コスト面でも現実的ではありませんでした。
その点、Zoho CRM はカスタマイズ性が高く、自分で自由に作り込める点が魅力。私は元来、ツールを自分で調整しながら使いこなしたいタイプなので、業務に合わせてカスタマイズできるこの柔軟性は大きな決め手に。加えて、初期導入コストが低く、スモールスタートしやすかったこともポイントです。
― 実際にどのようにお使いになられているのか、画面を見ながらご説明ください。
高崎氏:当社のZoho CRM のタブには「アナリティクス」、「Desk」、「受注」、「修理」、「販売時連絡」、「自宅で商品を見る」といったものが並んでいます。この中ですと「自宅で商品を見る」というタブは、当社ならではのものです。遠方にお住まいのお客様には、店舗に足を運ぶのが難しい方もいらっしゃいます。そのため、店頭の商品を一度お客様に送付し、ご自宅で実際に手に取って確認してもらう…というサービスを提供しています。この際、お客様の情報や送付した商品、返却状況などを適切に管理する必要があるため、「受注」タブとは別に、専用の「自宅で商品を見る」タブを作成しています。
例えば、送った商品がちゃんと戻ってきたかどうかも記録し、管理できるようにしています。こうしたカスタマイズが容易にできるのが、Zoho CRM の強みですね。
自社ならではのBtoCビジネスに則したフローに合わせてタブをカスタマイズ
― メモ機能もかなりご活用いただいているご様子ですね。
高崎氏:はい、当社ではお客様との細かなやり取りをすべてメモ機能に記録し、接客やアフターサポートに活用しています。Zoho Deskで問い合わせ履歴や購入情報を確認することもできますが、それ以外の様々なご要望もお客様からの声として大切に記録しています。
特に当社ではお客様が店頭にメンテナンスに来られることが多いため、過去のやり取りを瞬時に確認できることが重要です。お名前を伺ってメモを確認し、「以前、こういったお話をされていましたね」といった形で会話をスムーズに再開できるので、お客様も安心されますし、より丁寧な対応が可能になります。実際、「そんなことまで覚えてくれているんですね!」と驚かれることも多いですが、記録をしっかり残しているからこそ、お客様一人ひとりに寄り添ったサービスが提供できると考えています。
私たちにとっては“一対多”の接客ですが、お客様にとっては“一対一”の関係です。その感覚を大切にするためにも、ツールを活用して情報をしっかり管理し、個別対応を徹底することが欠かせません。Zoho CRM のメモ機能を活用することで、お客様とのつながりをより深め、長く信頼していただける関係を築いていけると感じています。
― Zoho WorkDrive も利用されていますか?
高崎氏:はい。現在、ほぼすべてのデータ管理にZoho WorkDrive を活用しています。導入当初はあまり使っていなかったのですが、今では商品写真や納品書、生産管理に関するデータなどもすべてZoho WorkDrive 上に保存し、スタッフ間で共有しています。
実は、以前は社内に物理的なNASを構築していましたが、トラブルが発生すると復旧が難しく、管理の負担が大きかったんです。そんな経緯もあって、クラウド上で安全にデータを管理できるZoho WorkDrive に完全移行しました。
容量も1TBあるので社内のあらゆる業務データを一元的に管理できるようになりました。今後もZoho WorkDrive を活用しながら、よりスムーズな情報共有を目指していきたいですね。
― BtoCビジネスにおけるZoho CRM 活用のポイントはどのあたりにあるとお考えですか?
高崎氏:BtoB向けに設計されているCRMは、問い合わせから受注までの商談プロセスを追うことが前提になっていますよね。しかし、BtoCではこうした「段階的な営業フロー」が存在せず、購入までの流れがシンプルで短いため、BtoBのままでは運用しにくい部分が多い。そこで自ら不要なステージを省き、逆にBtoCならではのプロセスを組み込むことがポイントになってきます。
たとえば、当社の場合は問い合わせから来店、購入という流れの後にも、メンテナンスや修理といったアフターサポートが発生します。これらの顧客対応をスムーズに管理するために、Zoho CRM をカスタマイズし、独自のタブを設定しました。「受注」「修理」「販売時連絡」「自宅で商品を見る」など、当社の業務に合わせた項目を作成し、それぞれの情報を一元管理しています。
その点において、Zoho CRM はドラッグ&ドロップで直感的にカスタマイズができるので、自社の業務に合わせた仕組みを柔軟に作り込めるのが大きな強みです。「システムに業務を合わせる」のではなく、「業務に合わせてシステムを最適化できる」点が、Zoho CRM をBtoC向けに活用する上でのポイントだと考えています。
Zoho SalesIQ を活用して個別最適化されたコミュニケーションを実現したい
― Zoho CRM を導入されて、最も効果を実感したのはどのようなことですか?
高崎氏:やはり問い合わせ情報を一元管理できるようになったことでしょうか。当社はリピート客が多いため、過去のやり取りが履歴として残り、すぐに特定できるようになったことは大きいですね。
導入前はお客様とのやり取りを探すのに時間がかかることもありましたが、Zoho CRM なら名前を検索するだけで、過去の対応履歴や購入情報がすぐに確認できるので、対応スピードが格段に向上。おかげでお客様をお待たせすることがほとんどなくなり、スムーズな対応が可能になったと実感しています。
また、当初は私一人で使い始めましたが、「CRMは自分だけが使っていても勿体無い」と気づき、スタッフ全員が活用できるようにしました。その際、より幅広い Zoho のツールを活用できるよう Zoho One に切り替え、業務全体の効率化を図りました。現在では、接客担当を中心に、スタッフ全員が Zoho CRM を活用し、お客様対応をスムーズに行える体制を整えています。これにより、どのスタッフが対応しても、ずっと対応していたスタッフの様にサービスを提供できるようになっています。
― Zoho CRMを活用した今後の展望についてお聞かせください。
高崎氏:今後、特に力を入れたいのが、BIツールであるZoho SalesIQ の活用 です。現在は外部のチャットツールを使用し、お客様とのやりとりを手動でZoho CRM やZoho Desk に記録していますが、Zoho SalesIQ を導入すれば、問い合わせの履歴が自動で紐付けられ、管理の手間を大幅に削減できると考えています。
試験的に導入した際には、「どのお客様がどのページを閲覧しているのか」「どのタイミングで問い合わせがあったのか」 などが一目で分かる仕組みに驚きました。
今後はZoho SalesIQ の機能をしっかりと把握した上で、チャットを通じた問い合わせ対応を強化し、よりスムーズな顧客対応を実現したいと考えています。また、Zoho Forms などのツールとも組み合わせることで、問い合わせの自動化や情報管理の効率化も進めていく予定です。
― 最後に、Zoho CRMの導入を検討されている方へメッセージをお願いします。
高崎氏:私はBtoCの事業でZoho CRM を5~6年活用していますが、それだけ長く使い続ける価値のあるツールだと感じています。特に、最初から大きく投資しなくても、小さく始めて徐々に拡張していける点が魅力ですね。多くのCRMツールは導入コストが高く、「初月からフル稼働しないとペイできないのでは?」という不安がありますが、Zohoは必要な機能から少しずつ活用していくことが可能です。そのため、中小企業やBtoCビジネスにとっても継続しやすいサービスだと思います。
一方で、Zoho CRM は自由度が高い分、「もっとこうしたい」と思ったときに自己解決が難しくなることもあります。そういった場合は、Zohoの認定パートナーに相談するのも良い選択肢です。Zoho CRM は「導入して終わり」ではなく、成長とともに進化させていけるツールなのでぜひ一度、タッチしてみてはいががでしょうか。
株式会社IchitogoManufacture
- 所在地:東京都台東区蔵前2-1-23蔵前立沢ビル A号
- 業種:製造・小売
- 社員数:4名
- 事業内容:本革製品の企画・製造・販売
- ビジネス:BtoC
- 創業:2012年6月
- URL :https://ichitogo.com/