CRM/SFA 導入事例データドリブン経営で、"なくてはならぬ"サービスへ。
サイロ化したデータをZoho CRM に一元化。
akippaが挑むデータ活用に基づいた世の中の困りごとの解決。
- akippa株式会社
- 所在地大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークスタワー 14階
- 業種情報通信業
- 社員数86名
- ビジネスBtoB、BtoC
- 創業2009年2月
多くの企業が直面する課題の一つに、データのサイロ化が挙げられます。スプレッドシートやExcel、個別の業務アプリケーションなどに情報が分散し、一元的な管理がなされていない状況が発生すると、手作業によるデータ集計や業務の属人化といった問題が生じます。その結果、業務効率の低下を招くケースも少なくありません。
駐車場シェアリングサービス「アキッパ」を運営するakippa株式会社も、同様の課題に直面していました。そこで同社が導入を決定したのが、Zoho CRMです。各種チャネルやクラウドサービスと連携することで、データをZoho CRMに集約し、データドリブン経営の基盤を構築しました。さらに、Zoom Phoneや他のZohoツールとの連携により、さらなる業務効率化を推進しています。
今回、Zoho CRMの導入を推進したセールスイネーブルメント担当の内藤氏、営業の嶋岡氏、エンジニアの西脇氏に、その背景や導入の経緯についてお話を伺いました。
「Zoho CRM は、機能が充実しているだけでなく、UIも使いやすい。何より、全社員がフル機能を活用できる点が魅力です。会社全体で導入し、みんなで使うことでこそ、CRM/SFAツールの真価が発揮されると思います。」
akippa株式会社 Strategy&GrowthGroup営業部 内藤 仁氏
― はじめに、akippa株式会社について教えてください。
内藤氏:akippa株式会社は2009年に創業し、2014年に駐車場のシェアリングサービス「アキッパ」を開始しました。
当社のサービスの大きな特徴は、「空いているスペースを有効活用して、駐車場不足の問題を解消する」という点です。
貸主は、普段使われていない月極駐車場や自宅の空きスペースなどを、簡単に予約できる駐車場として提供。一方、利用者は、スマートフォンやパソコンから事前に駐車場を検索して予約できるので、「駐車場が見つからない」というストレスを解消できる仕組みになっています。
都市部では駐車場が不足している一方で、実は使われていないスペースも多い。その需要と供給をつなぐのが当社の役割です。利用者にとっては利便性が高いだけでなく、貸主にとっても収益化のチャンスを提供できる。結果として、「社会全体の駐車場の有効活用につながる」というところがポイントです。おかげさまで、2025年3月現在、ユーザー数は約440万人、常時予約できる駐車場は全国で約50,000カ所に達しています。
サービス開始から10年以上が経った現在では、都市部だけでなく、地方のニーズにも応えられるようになっています。
例えば、2023年の第75回諏訪湖祭湖上花火大会では、アキッパが予約システムを活用した駐車場マネジメントを担当。
それまで無料・先着順だった駐車場を有料・予約制にしたことで、例年ならば前の日から駐車場入場待ちの車列ができてしまい問題となっていたが、アキッパによる完全予約制導入後は入場待ち車列がゼロになり、周辺の交通渋滞を大幅に緩和、CO2排出量削減にも貢献しました。
また、上記車列対応の為に職員が早朝から出勤しなければならない状況も長年続いていたが、これも改善しています。
Zoho CRM は直感的に使いやすく、機能が充実していることが決め手
― Zoho CRMを導入した背景や業務上の課題について教えてください。
西脇氏:私がakippaに入社する以前の営業部門では、営業数字の集計、インセンティブ計算、提出資料の作成といった業務が手動で行われていました。
具体的には、営業事務担当者が作成したスクリプトを実行して数字を集計したり、アルバイトが作成したプログラムでインセンティブを計算したりしている状態でした。加えて、営業担当者が独自に導入したツールも混在し、データ構造が複雑化。結果として業務がサイロ化し、非効率な運用になっていました。
そこで私は、業務を一元化し、自動化する基盤を構築しようと考えました。そのために、データドリブン経営の知見を学び、社内でヒアリングを行いながら改善を推進しました。その結果、手動で行われていた業務を効率化し、経営会議や評価面談で活用できるデータとして整備することができました。
しかし、基盤が整うと新たな要望も増えます。「予実管理をしたい」「リテンション率を上げるためのリストを作成したい」など、多くの要望が出てきました。その頃、駐車場や会員数が急増していたこともあり、従来の運用では限界が見えてきました。
そこで、2023年にCRM/SFAツールの知識と利用経験を持つ嶋岡が加わり、SFA/CRMツールの導入を提案。また、私の前職での経験を活かし、SFA/CRM を導入する流れが生まれました。
― 当初は、Salesforceを検討されていたとのことですが。
嶋岡氏:まず、私がakippaに入社して強く感じたのは、営業活動やデータ管理が属人的であることへの危機感でした。
プロフェッショナルな社員が多いのですが、一方で知識やスキルが「個」に依存していて、ノウハウやデータがどこにも蓄積されていない状況でした。
この運用面の課題を解決するため、前職で使用経験のあるSalesforceの導入を24年5月に提案しました。しかし、導入検討を進める中で、ネックとなったのがSalesforceの高額なコストです。初期導入費用を含め数百万円かかるという見積もりに対し、社内でコスト削減の調整を試みました。
ベンダーからは「自社で作業すればコストを抑えられる」と提案されましたが、社内に対応できるリソースはなく、2024年8月の内藤のプロジェクト参加まで、導入は難航していました。
― そこからZoho CRM の導入へと至った経緯を教えてください。
内藤氏:私は過去にSalesforceの導入支援を経験しており、また自社運用の管理者としても前職で10年以上携わっていました。当初は部署が違うため関わっておらず、外から状況を見ていましたが、「このままだとプロジェクトがうまくいかない」と感じ、途中から参加しました。
Salesforceは運用・開発に手間とリソースがかかり、さらに以前からUIの使いづらさが課題だと感じていました。10年前と比較しても大きな改善が見られなかったのです。
一方、Zoho CRM は直感的に使いやすく、UIがすっきりしていて、インポート作業も非常に簡単。機能面を比較しても、SalesforceよりもZoho CRM の方が優れていると感じました。
さらに、Zoho CRM は価格面でも優れていました。Salesforceでは予算上、営業部全員への導入が困難でしたが、Zoho CRM は全員が利用できる価格でありながら、機能も充実していました。
これらの理由から、Zoho CRM の導入を決定しました。
既存データの加工や現地写真の確認、Zoom Phoneで通話履歴管理など業務効率化
― 実際にZoho CRM に触れてみての率直なご感想をお聞かせください。
内藤氏:まず、データのインポート機能が使いやすいと感じました。
Salesforceでは、他ツールを介してインポートする必要があり、一度インポートしたデータを取り消すには手間がかかります。そのため、ミスがないよう慎重に作業する必要があり、手間がかかっていました。
一方、Zoho CRM は、インポートしたデータに間違いがあった場合でも、ワンクリックで取り消せるため、作業がとても楽になりました。
また、Zoho CRM 以外のツールも魅力的で、Zoho Survey は以前からマーケティング部門で活用していました。その前はSurveyMonkeyを使っていましたが、Zoho Survey に切り替えました。Zoho Survey は使いやすく、他のツールとの連携ができるところもよかったです。
Zoho Survey は、マーケティング部門だけでなく、広報部門でも活用しています。顧客満足度調査はもちろん、広報部門ではプレスリリース作成のためのユーザーアンケートや、会員向けプレゼント企画の応募フォームとしても活用しています。Zoho Survey 上で集計がある程度できるため、手間がかからず便利です。
今後は、ユーザーアンケートとZoho CRM を連携し、よりデータ活用を進めて行きたいと考えています。
― Zoho CRM の活用状況はいかがでしょうか?
内藤氏:当社の営業チームは五つのカテゴリーに分かれており、そのうち三つのチームはすでにZoho CRM を導入しています。
嶋岡が所属している、エンタープライズ部門や、カスタマーサクセスを担当するSMB領域の一部チームは、まだ導入できていませんが、残りのチームもこの四半期中には導入を完了する予定です。
その中でもSMB領域を担当するチームでは、当初は新規案件のみをZoho CRM に入力する予定でした。しかし、実際にZoho CRM を使い始めると、過去データも活用したいという要望が出てきました。そのため、現在は新規案件の入力と並行して、過去データの入力作業も進めています。
こちらが現在、SMBを担当しているダイレクトチームの画面です。営業領域ごとにチームスペースを分け、現在は主にSMB領域でZoho CRM を顧客情報管理、キャンペーン管理、レポート・ダッシュボード作成などに活用しています。
― かなりの数のリードが登録されていますね。どのようにリードを獲得されているのですか?
内藤氏:現在は、外部のパートナー企業を活用しています。パートナー企業のスタッフが現地を回り、候補の駐車場を見つけては写真撮影をして、その情報をZoho CRM に登録しています。Zoho CRM の画面上では、ブラウザのプラグインを活用することで、該当項目にマウスオーバーするだけで、写真を確認できるようにしています。
この写真の有無が、電話営業の生産性に大きく影響します。写真があることで、駐車場の状況をイメージしながら提案できるため、この仕組みは非常に便利だと感じています。
ちなみに、最近クラウド電話サービス「Zoom Phone」を導入し、Zoho CRM と連携させました。Zoho CRM から直接発信でき、通話履歴や録音データも自動的にZoho CRM に記録・確認できるため、非常に便利です。
管理者にとっても、ダッシュボードで必要な情報を一元的に確認できるため、状況把握が容易になりました。
― アナリティクスもご利用いただいていますが、使い勝手はいかがでしょうか?
内藤氏:現在はZoho CRM のアナリティクスを活用しており、特にレポートやダッシュボードが便利だと感じています。以前は手作業で集計していたため、かなりの時間と手間がかかっていましたが、手作業が不要になりました。営業担当者からも「事務作業の負担が減り、営業活動に集中できるようになった」と好評で、営業活動全体の効率が向上しています。
一方で、課題もあります。データはZoho CRM 内に蓄積されているにもかかわらず、それを日々の業務の中で確認する習慣がまだ十分に定着していません。
マネージャーが、口頭やチャットで進捗を確認することも多く、データに基づいた意思決定や行動が、組織全体に浸透しているとは言えない状況です。今後は、データを主体的に活用する文化をいかに醸成し、定着させていくかが、重要なテーマだと考えています。
― 新システムの導入に際しては多かれ少なかれ社内から意見はあるかと思いますが、そのあたりはいかがでしたか?
嶋岡氏:おっしゃる通り、導入時には、私と同じレイヤーのメンバーからも「今のシステムで十分だから、わざわざ変える必要はないのでは?」という意見が挙がりました。
新しいシステムへの不安の声や「現在のやり方でも成果は出ている」という意見もあり、理解を得るには時間を要しました。
そこで、Zoho CRM の導入が会社の将来的な成長にとって重要であること、そして具体的なメリットを丁寧に説明しました。
例えば、以前は「この案件は誰が担当したか」といった情報が個人の記憶に頼りがちでしたが、Zoho CRM 導入によって、データとして蓄積・共有され、誰でも容易に確認できるようになる、といった点です。
さらに、営業の役員から「Zoho CRM の活用が業務に役立つことをより明確にするため評価制度にも組み込めないか?」という提案もあり、現在、導入を促進するための仕組みづくりを進めています。
メンバーが自然に入力できる仕組みを整え、メンバーには「入力をせざるを得ない」状況を作り出し、最終的には、Zoho CRM の活用を評価や実務に組み込むことで、全社的な利用を定着させたいと考えています。
Zoho CRM のポータル機能を活用して、パートナー企業との情報共有を強化したい
― 貴社では、今まさにZoho CRM の活用が浸透している最中かと思いますが、Zoho CRMを活用した今後の展望についてお聞かせください。
内藤氏:現在、リード獲得に関しては、割けるリソースや時間が限られているため、パートナー企業や電話代行などに依頼しています。
ところが、各パートナー企業が使用しているツール(例えば、kintone(キントーン)やスプレッドシート、Excelなど)がバラバラで、そのフォーマットの違いによってデータの管理や処理が煩雑になっています。この状況を改善するために、ぜひ活用したいと考えているものが、Zoho CRM の「ポータル機能」です。
ポータルを導入することで、外部のパートナー企業が直接CRMにデータを入力し、リアルタイムで状況を把握できるようになりますからね。
これが実現できれば、外部のパートナー企業からのデータ収集・入力作業が自動化され、担当者の手作業が不要になり、業務効率が向上します。現在は社内でテスト運用中ですが、今後は外部のパートナー企業にもポータルを活用してもらい、データ連携の効率化と管理の一元化を実現したいと考えています。
― 最後に現在Zoho CRM の導入を検討している方にメッセージをお願いします。
内藤氏:多くの企業がCRM/SFAツールを導入する際、最初にSalesforceを考えることが多いと思いますが、もう少し視野を広げて、いろんな選択肢を検討してほしいです。Zoho CRM は非常に優れた製品で、低価格にも関わらず高い機能性を持っています。多くの人が使えることがCRM/SFAツールの本来の効果を発揮するために重要です。実際、他の営業メンバーも、前職でSalesforceを使っていましたが、高額なコストがネックで一部の部署での利用に留まっていたそうです。それだと、CRM/SFAツール本来の良さが生かされません。しかし、Zoho CRM はZoho One というプラットフォームを提供しており、全社員がフルサービスを活用できる点が魅力です。Zoho の良さをもっと知ってもらいたいと思います。
嶋岡氏:Zoho CRM を導入する際、周囲からの不安の声も出てくるかもしれませんが、その際は信念を持って進めていってほしいですね。Zoho CRM は“風向きを変える”力を持っており、ターニングポイントになる可能性が非常に高いです。私たちはこれからZoho CRM をさらに活用し、営業成果につなげていくつもりですが、今まで活用がなかった企業にとっては、営業成果が何倍にも伸びる可能性が大きいと思います。
西脇氏:Zoho CRM は、導入事例やノウハウがネット上にあまり出回っていないため、もう少しその部分が広まれば参照できるソースも増えるため、より一層使いやすくなると感じています。
ユーザーとして実際に使用していて感じる良い点は、コストパフォーマンスが高いこと、、CRM/SFAツール、MA(マーケティングオートメーション)等をはじめとした様々なツールを一元的に使えることです。また、クラウドサービスとのデータ連携が非常に簡単で、エンジニア目線から見ても使いやすいと感じています。
akippa株式会社
- 所在地:大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークスタワー 14階
- 業種:情報通信業
- 社員数:86名
- ビジネス:BtoB、BtoC
- 事業内容:駐車場予約アプリ「アキッパ」の運営
- 創業:2009年2月
- URL :https://akippa.co.jp/
導入支援パートナーについて
カイト合同会社(KITE, LLC)
Zoho CRM を中心としたクラウドテクノロジーの活用を通じ、クライアント各社のデジタルトランスフォーメーションを推進しています。
提供サービスは全て「生産性向上のための仕組みづくり」を主眼として設計されており、2014年の創業以来、延べ100社以上の企業様にご利用いただいております。
- 本社所在地:東京都千代田区一番町13−2 2F
- 設立:2014年
- 従業員数:5名(契約社員含む)
- 業種:コンサルティング
- パートナー認定:プレミアムパートナー
- ビデオ会議対応:可
- 対応地域:全国
- 対応サービス:全サービス
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